本:もう牛を食べても安心か
2006.04.02 Sunday - 12:03
福岡伸一「もう牛を食べても安心か」文春新書 タイトルからするとBSE関連の内容に思えますが、中身は福岡先生(青山学院大教授)の哲学が展開された、非常に奥の深い本です。 中でも「なぜタンパク質を食べつづけなければならないのか」と題して、ルドルフ・シェーンハイマーというあまり知られていない研究者の業績を紹介しているのですが、これが僕にとっては「驚愕の事実」でした。 それまで生物はエンジンにたとえられていた。エンジンはガソリンを燃焼させて得られるエネルギーを利用して動力を生み出す。生物も食物を燃焼させて(正確には酸化させて)、そのとき得られるエネルギーを使って生命活動を維持する。生物体は安定した"内燃機関"として作動し、食物はそのエネルギー源となる。私たちの実感はこれに近い。 はい、ここまではいい。ところが、シェーンハイマーが摂取されたアミノ酸の行方を重窒素を使って探ったところ、まったく異なる結果が得られたのだというのです。 食べた食べ物は瞬く間に分子のレベル以下まで分解される。一方、安定なはずの生物体もまた驚くべき速度で常に分子レベルで解体されている。そして食物中の分子と生体の分子は渾然一体となって入れ換わり続けている。つまり、分子のレベル、原子のレベルでは、私たちの身体は数日間のうちに入れ換わっており、「実体」と呼べるものは何もない。(略) この研究結果に関する記述を読んだときは『えええッ!?※ゝ☆~△』ってな感じを受けました。僕自身て単に密度が高いだけなんですね。うーむ、自分の存在自体が希薄かつ奇跡のように思えてしまいます。 著者は、シナプスの結合で保たれているとされている「記憶」も、脳やシナプスが分子レベルで入れ換わっている以上どこまでが不変と言い切れるのか、といったところにまで論を展開しています。また、食物に含まれるアミノ酸が身体を構成することから、食生活の安全性・重要性やBSEのことも(科学的に)論じています。 なおBSEをより詳しく知りたい場合は、同じ著者の「プリオン説はほんとうか?」(ブルーバックス)も一読してみてください。異常プリオンはBSEの結果であって原因とは言い切れない、という可能性が示唆されています。 |
コメント
コメントする
|
この記事のトラックバックURL
http://www.sekitechnologies.com/mt33/mt-tb.cgi/539
|




![Validate my RSS feed [Valid RSS]](/image/valid-rss.png)

