うちの子供は――正直言うと賛成ではないのですが――まだ小学生なのに塾に通っております(正確には通わせております)。塾は首都圏ではそれなりに名前のとおったところであります。塾にとって子供は「お客様」ですから、駅から徒歩2分ほどなのに、塾の出入り口と駅前の信号のところに警備員が3人も立って誘導するという、至れり尽くせりのサービスが行われております。
で、話の主人公はこの警備員の皆さんです。見るからに定年退職した人たちが、「第二の人生」なのかどうか分かりませんが、雨の日も風の日も、誘導用の懐中電灯を持って、トランシーバで連絡を取り合いながら、子供たちが駅へ向かうところを見送ってくれています。
おじさんたちは世代的に仕事を得ることの難しさや労働の尊さを知っている世代ですから、実に真面目であります。自分の孫くらいのガキ、もとい、お客様たちに、「さよなら」「はい、さよなら」と大きな声を掛けてくれます。
ところがであります。元気が良くてしかるべき子供たちなのに、挨拶をしないんです。10人中8人くらいは「そこに誰もいない」かのごとく友達同士でおしゃべりをしながら歩いていきます。わずかな子供が、ややか細い声で応じる程度です。
何人かの子供は父親に迎えられて帰っていきます。この父親どももほとんど返事をしません。自分の親くらいの年齢の人たちが雨の中を立ちながら、ガキども、もとい、自分の子供の往復を見守ってくれているんですから、一言挨拶したっていいじゃないですか、ねぇ。

R-D1s + Summarit 50mm/F1.5
昨日は自分の息子に言いました。ちゃんと警備のおじさんにも「さよなら」を言いなさいと。