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体育館での撮影

  • 2009.03.16 Monday
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 たまにはカメラ機材の話でも。

 体育館での撮影はいろいろと厄介である。

 まず、光量が圧倒的に足りない。多くの場合、競技や演技の邪魔になるからと遮光カーテンが閉められ、外光はシャットアウトされる。テレビカメラが入ることも想定した大規模かつ新しい体育館は別として、一般的な公立体育館の場合、ISO3200に感度を上げてもF2.8+1/500がやっとではないだろうか。感度を上げねばならないので画像はノイズが多くなる。ノイズリダクションを効かせると全体の解像感が落ちる。演技や競技によっては1/500ではシャッタースピードが足りず、被写体ブレ+手ブレの原因にもなる。最近では「経費節減」を理由に全灯を点灯してくれない場合もある(そういう場合は、せっかくの演技・競技がきれいに撮れません、全部点灯していただけませんでしょうか、とひたすら低姿勢で主催者に頼み込む!)。

 もっとも、最近のデジカメ(一眼)はISO3200が使い物になるレベルにまで改良が進んでいるので、少し前の機種(キヤノンでいうとEOS 40D以前)に比べれば、だいぶ救われるようになった。いずれISO6400やそれ以上も実用領域に入ってくるだろう。事実、NIKON D3はISO 25600相当まで感度を上げられるそうだから、近いうちに光量不足の問題は過去のものになる可能性が高い。

 もうひとつは照明のフリッカーだ。東日本なら50Hzの倍、西日本なら60Hzの倍の周波数で水銀灯が明滅する現象である(フリッカーは水銀灯だけではなく一般的な家庭の蛍光灯でも発生している)。人間の目には見えないが、シャッタースピードをフリッカー周期以上(たとえば1/125以下)に設定して撮影すると、画面に「ムラ」のような被りが生じてしまう。上のほうが紫っぽく写ったり、下のほうが緑っぽく写ったりするのである。フリッカーを避けるにはシャッター速度を遅くするしかないが、そうすると動きを伴う競技や演技が撮れない。今までの経験でいうと、昭和50年代あたりに建設された古い体育館ほどフリッカーが強いように思う。

 フリッカーの有無を確認するのは簡単だ。カメラをマニュアルモードに設定しシャッタースピードを1/250とか1/500などに設定して、何枚か適当にシャッターを切ってみる。すべての画像の露出や色味が同じならその体育館はフリッカーレス(おめでとう!)だし、どれもばらばらなら盛大なフリッカー発生(これまた、おめでとう!)だ。その中間もある。僕の場合、現場に到着したら、まずフリッカーの有無を確認するのが常になっている。

 フリッカーが強い会場に当たってしまったら諦めるしかない。色ムラ・露光ムラが出るのはしょうがないので、少し多めにシャッターを切っておき、フリッカーが強いカットはどんどん捨てていくようにする。RAWで撮って一枚ずつ合わせ込むのは意味がない。シャッターが縦走りの場合で上と下とで色味が違ってくるから、一般的な現像処理では対応できないのである。Photoshopを使って領域ごとに調整すれば救えるかもしれないが、あとはコスト・パフォーマンス次第だ。

 もうひとつの問題はホワイトバランスだ。体育館で一般的に使用されている水銀灯は、太陽のような一様のスペクトルではなくて、特定の輝線スペクトルで構成されている。いわゆる演色性が悪く、スペクトルのない波長の色が黒ずんでしまう。だから正確な色味を出そうというのはそもそも無理な話なのであるが、ここで諦めてしまっては演技者や競技者をきれいに撮ってあげることができない。

 そこでカメラ側で出来る限りホワイトバランスを設定してやるわけだが、残念がら「AWB」(オートホワイトバランス)は、水銀灯の色被りを完全に取り去ってはくれない(キヤノンの場合であってニコンは知らない)。なおフィルム時代は水銀灯で撮ると緑色に被ったが、デジカメをAWBに設定して水銀灯下で撮ると、濁ったアンバー被りが生じるように思う。

 ではどうするか。カメラ側にオートで任せておけないのだから、マニュアルでホワイトバランスを設定してやる。よく知られているのがグレーカードを使った方法だ。プロカメラマンのカメラバッグにはたいてい銀一のグレーカードが入っているはずで、左手にグレーカードを持ちながら、右手でグレーカードを全面に写し込むようにシャッターを切り、その画像をホワイトバランス設定用に使用する(設定方法はカメラボディのマニュアル参照)。ただ、自分の経験では、この方法はどうもイマイチな感じがある。天井照明のグレーを取るだけなので、体育館特有の床や壁からの反射による被りが残ってしまうからだ。それに試合・演技会場に立ち入れることが前提になる。二階席からしか撮影できないような場合はこの方法が使えない。

 このところ愛用しているのがドーム型をしているケンコーのホワイトバランスセッターだ。かなり高い確率で正確なホワイトバランスを設定できる。アマチュア用のギミックではなくて、クオリティを求められるプロこそ使うべきツールだと思っている。僕は72mmを使っている。EF24-70mm/F2.8LとEF70-200mm/F2.8Lで共用できるからだ。

 (ケンコーのウェブを覗いたらどこにも載っていないが、まさか廃品種になったのだろうか。Yahoo!オークションを探せばまだ新品を購入できる。それにケンコー以外からも似たようなアイテムが出ているし(たとえばExpoDisc)、もしかしたら100円ショップで売っているタッパーウェアで自作できるかもしれない。精度は保証しないが。)

ホワイトバランスセッター

 ホワイトバランスセッターでホワイトバランスを設定したあと、白いユニフォームを着た選手を探して試し撮りをして、少し被っているようならカメラ側でホワイトバランスを微調整する。なお体育館の照明は中央と周囲とで色味や明るさがまったく違う場合があるので、ホワイトバランスを設定する際の立ち位置やレンズの方向には注意を要する。

 さて、運よくフリッカーの少ない会場に当たり、ホワイトバランスも正確に取れたとしよう。きれいに撮るにはもう少しポイントがある。

・露出を露出計が示す値よりも2/3段から1段プラスに設定する
・キヤノンの場合、ピクチャースタイルの「コントラスト」を1段上げる

 これで体育館でも濁りが少なく明るいきれいな写真撮れるはずだ(会場や機材の条件によるところが大きいので、あくまでも「はずだ」としか言えないが)。お子さんがバスケやバレーや新体操などの活動をしていて、試合や発表会を一度はきれいに撮ってみたいというご父兄も多いのではないだろうか。お試しあれ。



補足:RAWで撮っておいて現像時にホワイトバランスを調整すればいいという考え方もあろうが、試合や演技は「枚数モノ」なので、暇があるならどうぞ、としか答えられない。JPEG撮りっぱなしできれいに撮れるなら、それに越したことはないだろう。

Comments:4

白ヒゲ 2009/03/17 09:46 AM
ExpoDisk これも悪くは無いけれど
単純な100mm角の乳白のアクリルをレンズ前に
入れてテスト撮影すればほぼ同様な結果が得られる予感。
かさばらないし、100円くらいで済みそう。

どうよ。
ユキヒロ 2009/03/17 09:03 PM
白ヒゲさん、
 ケンコーがドーム型にしているのは、反射露出計の光球と同じ原理で、天井(光源)や壁や床なんかをバランスよく拾うことが目的のようです。

 ExpoDiscはドーム型ではありませんが、似たような散光の仕組みが入っています。

 平らなアクリル板だとどうでしょうね。丸っこいタッパーウェアならいけるかもしれません。ぜひぜひお試しください。
tarepanda0317 2009/03/20 07:46 AM
最近はこんなものも出ているようです。

http://dc.watch.impress.co.jp/cda/accessories/2008/11/28/9728.html
ユキヒロ 2009/03/21 11:26 AM
tarepanda0317さん、
 そのニュース、読んだ記憶が。
 受光部の小ささにちょっと不安を感じます。
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